空き瓶の研究日誌

生物系大学院生の備忘録

google scholar skimming

google scholar でなんとなくざっと調べて流し読みした記録

 

1つ目 

Molecular patterning during the development of Phoronopsis harmeri reveals similarities to rhynchonelliform brachiopods

Andrikou, C., Passamaneck, Y. J., Lowe, C. J., Martindale, M. Q., & Hejnol, A. (2019). EvoDevo, 10(1), 1-15.

https://evodevojournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13227-019-0146-1

ホウキムシの胚発生過程における遺伝子の発現パターンを調べ,近縁な腕足動物と比較した論文.ここで調べられているのは前方 (otx, gsc, six3/6, nk2.1), 後方 (cdx, bra), 内胚葉系中胚葉 (foxA, gata4/5/6, twist)のマーカーとなる遺伝子の発現.体軸の決定や細胞運命の決定のタイミングは比較を行った腕足類の2系統の内の一つ(rhynchonelliform brachiopods) によく似ていた.この類似性から,ホウキムシと腕足類の共通祖先における遺伝子の発現パターンはホウキムシとrhynchonelliform brachiopodsで見られた発現パターンに近かったのではないかと推察される.

ホウキムシの幼生自体初めて見た.ホウキムシはやはりこういう記載もまだ行われてなかったんやなぁ.

 

 

2つ目

Artificial fertilisation and early development of a limpet Lottia tenuisculpta (Patellogastropoda: Lottiidae)

Nakano, T., Nakayama, R., & Takahashi, Y. (2020). Molluscan Research, 40(1), 52-59.

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13235818.2019.1688752

 limpet(カサガイの仲間)の人工授精についての論文.カサガイはNCBIとかで遺伝子データ調べててもちょくちょく出てくるので,今後頭足類との比較でも使えるかも.人工授精の研究がなされているのなら将来的に機能解析まで行える可能性も高いのかもしれない.ちなみにLottia tenuisculpta:コモレビコガモガイ

 

3つ目

Hox gene expression during development of the phoronid Phoronopsis harmeri

Gąsiorowski, L., & Hejnol, A. (2020). EvoDevo, 11(1), 2.

https://link.springer.com/article/10.1186/s13227-020-0148-z

ホウキムシの仲間について今度はHOX遺伝子の発現を胚発生過程から幼生にかけて調べた論文.この種では胚発生過程初期においてHOX遺伝子の発現が見られなかった.この結果はホウキムシの幼生(actinotrocha)は成体の頭に相当し,HOXの発現しない最も前方に当たることが原因のようである.実際,頭部で発現する他の遺伝子の発現はactinotrochaでも見られた.胚発生後期は将来成体の柄に当たる部分ができはじめるためHOXが発現するのではないかと考えられる.

HOXが発生初期で発現せず, actinotrocha が頭に相当するからだという仮説も非常に面白い.ホウキムシは今どんどん研究が進み始めたところのようだが,新しい知見がいろいろ見つかり興味深い.個人的にはtentacleの形成がどうなっているのか等も気になるところ.

 

全然頭足類関係ない論文ばかりになってしまったけど,とりあえず今日はここまで.

いや、ホウキムシ面白いな