空き瓶の研究日誌

生物系大学院生の備忘録

論文備忘録)頭足類の形態比較

 

リファレンス

Analysis of morphology to determine primary sister-taxon relationships within coleoid cephalopods

Young, R. E., & Vecchione, M. (1996). American Malacological Bulletin, 12, 91-112.

https://www.researchgate.net/profile/Michael_Vecchione/publication/279710060_Analysis_of_morphology_to_determine_primary_sister-taxon_relationships_within_coleoid_cephalopods/links/5657c48308aeafc2aac1174e/Analysis-of-morphology-to-determine-primary-sister-taxon-relationships-within-coleoid-cephalopods.pdf

 

要旨より

形態の比較から鞘形亜綱(イカ・タコ)の系統関係を考察した論文

現生の頭足綱鞘形亜綱の科についてはきっちりと定義されているが,その系統関係についてはまだ議論の最中である.十腕形類(decapods,いわゆるイカ)の系統関係をはっきりさせるためにはまず適切な外群を定める必要があり,cradistic(分岐学)の観点からするとコウモリダコ目(Vampyromorpha)は特に興味深い分類群である.筆者たちは17科24種の50個の形質について解析した.扱った種は開眼亜目、閉眼亜目、コウイカ目、ダンゴイカ目、タコ目、コウモリダコ目に亘る.この段階ではオウムガイや発生段階、化石種を基に比較を行った.50の形質のうち25個は,特定のグループで独立して獲得されている,派生的に失われている,相同性が不明などの問題で系統関係の確認には適さなず,共有派生形質として系統関係の推定に友好なものは10個に限られた.今回の結果として得られた樹形は,オウムガイを外群として,イカとタコがそれぞれ単系統となり,コウモリダコはタコの中に含まれるものとなった.

 

コメント 

それぞれの形質について各分類群で見られる形態を比較してまとめられており,参考になった.吸盤についても記載があり,コウモリダコの吸盤はタコとイカの中間的な形態を示すが,祖先的であるというよりは独立して進化してきたものであると考えられると述べられている.

googleで調べているとコウモリダコはイカ・タコの仲間では祖先的な形態を持つと言われているようだが,今のところまだそのようにはっきり記載してある論文を見つけられていない.コウモリダコについても詳しく調べてみる必要がありそう.