リファレンス
Grasping the shape of belemnoid arm hooks—a quantitative approach.
Hoffmann, R., Weinkauf, M. F., & Fuchs, D. (2017). Paleobiology, 43(2), 304-320.
https://doi.org/10.1017/pab.2016.44
要旨より
べレムナイトという絶滅した鞘形類(イカ・タコの仲間)の持つhook(onychite)についての論文.べレムナイトのhookは中生代の堆積物によく見つかり,示準化石として注目されている.筆者はChondroteuthis wunnenbergiという種の良好に保存された化石をもとにhookの形態を解析した.Fourier shape analysisという解析方法を導入した結果,形態を4つのタイプに分けることができた.hookの分布は小さいhookは口の近くと腕の先端に,大きなものは腕の中央部にみられるという過去の記載の通りであった.さらに腕によってhookのタイプが異なることも明らかにし,現生の頭足類と比較してその機能分化についても推察した.以上の解析により,べレムナイトのhookについては主にえさの捕獲プロセスにおける異なる役割に適応して形態の多様化・腕上の配置の変化が起きてきたと考えられる.
コメント
タコやイカが吸盤を持つことはよく知られているが,絶滅した仲間でも吸盤に似た捕食のための器官をもっていたようである.しかし,このhookは現生のタコ・イカの吸盤と相同ではないと考えられている模様.次はそのあたりの論文をあたってみたい.
ちなみにべレムナイトも10本の腕を持っているが,触腕はないらしい.コウイカに近縁と考えられ,外套膜の中に殻を持っていてこれが化石としてよく保存されるようである.また墨袋も持っていた模様.(Wikipediaより)
(Wikiに上がっている保存状態の良い化石の写真にはhookがびっしり残っているのがみられて超かっこいい)